GCFJとは?活動内容ガラパゴスについてギャラリー関連著書メディアでの報告
活動へのご参加・ご支援お問い合わせリンク
トップへ戻る
 TOPガラパゴスについてガラパゴストピックス2012

ガラパゴストピックス

                              - 2012,07,20 -



 ロンサム・ジョージ死後なお残る謎


南米エクアドルの世界遺産、ガラパゴス諸島で飼育されていた雄のガラパゴスゾウガメ「ロンサム・ジョージョージ」(孤独なジョージ)が6月24日死んだ。同諸島ピンタ島で乱獲から唯一生き残り、71年12月に発見、保護されてから40年。ガラパゴスの自然保護お象徴だったジョージには、今いくつかの謎が残っている。

解剖の結果、ジョージの死因は「おそらく加齢によるもの」と発表された。ジョージは推定100歳以上と言われてきたが、その根拠は発見時に外見から80~100歳と推測されたことで、明確な根拠はなかった。
ジョージの子孫を残す試みはこれまで繰り返し行われてきた。93年から外観が似ているイザベラ島の雌2頭が一緒に飼育され、雌は08~09年に数回産卵した。しかし卵はいずれも無精卵だった。11年からは新たな遺伝子解析で最も近い種と分かったエスパニョーラ島の雌がパートナーになったが、生殖行動は見られなかった。これらもジョージが生殖年齢を過ぎていたため、との推測もできる。
死骸は剥製にされ、40年を過ごしたサンタクルス島で展示される予定だ。
ガラパゴスゾウガメは生息地別に14~15亜種に分類される。ジョージが属する「ピンタゾウガメ」が絶滅し、現存するのは10亜種となったが、ピンタゾウガメは生き残っている、との説がある。

米エール大のチームは07年、同諸島最大の島、イサベラ島のウォルフ火山で、ジョージと同じ遺伝子を半分持つ雑種個体を見つけた。1世代前にピンタゾウガメがいた証拠だ。
イサベラ島とピンタ島は遠く海に隔てられている。なぜピンタ島固有亜種の遺伝子が見つかるのか。エール大チームは、かつて各島で食用にカメを捕獲した船が、積み荷が重くなり、イサベラ島周辺でカメを捨てた、との説を公表している。

一方、フォトジャーナリストで「ガラパゴス自然保護基金」代表の藤原幸一さんは「組織的な捕鯨船団の食糧基地がイサベラ島につくられ、各島のゾウガメが集められていたのではないか」との仮説を立てる。
同火山一帯ではピンタゾウガメ以外に、19世紀半ばに絶滅した亜種フロレアナゾウガメの標本と同じ遺伝子を半分持つ子ガメも見つかり、150年ぶりの再発見の期待も高まる。絶滅をもたらした乱獲が、結果的に種を保存するコロニーを形成した可能性がある。
「一つの種を失ったことは人類が大きな財産を失ったことだ。」。エクアドルのコレア大統領は地元新聞に寄稿し、自然保護の推進を呼びかけた。

野生生物が独自の進化を果たし、ダーウィンが進化論の着想を得たガラパゴス諸島は、78年に陸地部分が世界自然遺産第1号に登録された。しかし、住民や観光客の急増などによる外来種侵入などで固有動植物の生態が脅かされ、07年に危機遺産に登録。さまざまな改善策を立て、10年にようやく解除された。
しかし現状は芳しくない。例えば09年の世界同時不況以後、国立公園局は人員減が続き、13万3000平方キロもの海洋保護区の担当者は現在1人だけだ。
人気者ジョージの不在で世界の関心を失うと、保護施策を支える観光収入や寄付金の減少につながる。危機遺産リストに再登録されかねないと懸念する声も出ている。

(C)毎日新聞
 
[07/20] 


その他のトピックスその他のトピックスはこちら 

このホームページの記事、及び写真・映像の掲載等をご希望の方は ガラパゴス自然保護基金/GCFJ へ。
本サイトに掲載されている画像、文章等、全ての内容の無断転載、引用を禁止します。
Copylight © Galapagos Conservation Fund Japan All Rights Reserved.

NATURE's PLANET MUSEUMへ