新種のガラパゴスリクイグアナが認定され、研究者は喜びでほおを紅潮させている。
皮膚の色からピンクイグアナと呼ばれており、エクアドル領ガラパゴス諸島の中でもイサベラ島のウォルフ火山にしか生息していない。 かのチャールズ・ダーウィンは1830年代に世界をめぐる航海の途上でガラパゴス諸島に滞在したが、ウォルフ火山を訪れることはなくこのイグアナについても何も述べていない。1986年、国立公園の自然保護レンジャーによって発見され、今日に至ってようやく独立した種であることが認定された。
新種のピンクイグアナについて初めて学術的な調査と記録を行ったのは、イタリアにあるローマ・トル・ヴェルガータ大学(ローマ第二大学)のガブリエル・ジェンティーレ氏が率いる研究チームで、近日発表予定の研究論文において正式な学名が提示される。 「このガラパゴスで、オオトカゲなどの巨型動物類の新種が発見できる可能性がまだ残っているとは驚きだ」とジェンティーレ氏は話す。研究チームは遺伝子分析によって、ピンクイグアナがおよそ500万年前にほかのイグアナ種から分岐したことを明らかにした。これまでに発見されたイグアナの中で最も古い種分化だという。 今回の最新研究は、今週発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌に掲載される。 ジェンティーレ氏は「今回の発見は、およそ900万年に及ぶ“進化上の沈黙”に終止符を打つものだ」と話す。なぜなら、リクイグアナとウミイグアナの分岐は1050万年前のことで、その後の900万年間は闇に包まれているからだ。リクイグアナが多数の種に分化したのはつい100万年前のことである。 しかしながら、ピンクイグアナの未来は必ずしもバラ色ではない。ジェンティーレ氏のチームは、ピンクイグアナの個体数が憂慮すべきほど少ないと指摘している。 ジェンティーレ氏は次のように話す。「イサベラ島に持ち込まれたノネコ(野生化したイエネコ)がピンクイグアナの子どもをエサにする可能性もあれば、ヤギが食料をめぐる生存競争のライバルとなることもあり得る。新しく認定された種の調査・保護活動を続けるためには、資金が絶望的に不足している。絶滅する前に最善を尽くさなくては意味がない」。 Photograph by Gabriele Gentile