「独りぼっちのジョージ」。そんな名前で呼ばれている大きなカメがいます。南米エクアドルのガラパゴス諸島だけにすんでいるガラパゴスゾウガメの一種です。
当年とって80歳から100歳の間。同じ仲間はすでにいなくなってしまい、たった一匹で暮らしています。
ガラパゴス諸島といえば、チャールズ・ダーウィンとの関係が有名です。ダーウィンは1809年にイギリスで生まれ、大学を卒業した後、1830年代にビーグル号という船に乗って世界を回ります。そのときに立ち寄ったのがガラパゴス諸島です。
ここで、島々にいろいろな種類のゾウガメがいることや、フィンチという鳥にもさまざまな種類がいることに気づきます。こうした生物の観察を元に、ダーウィンは有名な「進化論」を提案しました。当時は「人間は神様がつくった」と信じる人が大多数だったので、教会を中心に大きな反発が起きたそうです。
170年前と比べて、ガラパゴス諸島の様子は大きく変わりました。1978年に「世界遺産」に登録され、最近はたくさんの観光客が訪れています。その結果、環境破壊が起きたり、もともと島にいなかった外来種が持ち込まれたりして、島の動植物が脅かされています。このため、2007年には、世界遺産に登録されたものの、その資格がなくなりつつある「危機遺産」に登録されてしまいました。
ジョージが独りぼっちになったのは、人間が仲間をつかまえてしまったためと考えられています。なんとか子孫を残そうと、種類が近い雌のゾウガメとお見合い結婚させ、卵も産まれましたが、うまく育つ見込みがないことがわかったそうです。来年、生誕200年になるダーウィンが知ったら、嘆くのではないでしょうか。
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