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◆ガラパゴストピックス◆
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- 2008,09,23 - |
◆ガラパゴスのゾウガメ、絶滅から蘇るか
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Photograph by James Stanfield/NGS |
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ガラパゴス諸島で1800年代に絶滅したとみられていた大型のカメが、現代に蘇るかもしれない。
同諸島のフロレアーナ島は、かつて進化論を唱えたチャールズ・ダーウィンが訪れ、フロレアーナ島のリクガメを対象として研究を行っていた。このフロレアナゾウガメの遺伝子が、現存するガラパゴス諸島のカメから発見される可能性が出てきた。この遺伝子を持つカメの交配を繰り返せば、絶滅したと考えられていたフロレアナゾウガメがよみがえる可能性もあるという。
ガラパゴス諸島は太平洋のエクアドル沖に浮かぶ島々だ。同諸島では1990年代半ば以降、イェール大学の研究チームが調査を進めている。その過程でフロレアナゾウガメに姿形が極めて近いカメの存在が初めて明らかになったという。
ガラパゴス諸島のカメは、進化生物学者チャールズ・ダーウィンが自然淘汰説の根拠の1つとした生物だ。同諸島には丸いドーム型の甲羅を持つカメと、くぼみがあり前面が隆起した甲羅を持つカメがいるが、このくぼみのある甲羅は乾燥した生息地で背の高い植物を食べるために進化したものと考えられている。
ダーウィンは1835年にガラパゴス諸島を訪れた際、この土地のカメが食料として乱獲されていることを指摘している。特にフロレアーナ島に生息するくぼんだ甲羅のカメは油をとるためにも捕獲されることがあり、ランタンの燃料として重宝されていた。フロレアーナ島に生息していた15種類のカメのうち4種類が、ダーウィンの歴史的訪問から15年以内に絶滅したと推定されている。
だが、この海域では荷を積みすぎた捕鯨船が、捕獲した海洋生物を諸島内やその付近に降ろしていくことがあったという。その中にカメも含まれていたため、多くのカメが別の島と似たような生息環境に移り住むことになった。イェール大学の研究チームリーダーであるアダルジサ・カコーネ氏は、「この偶然の出来事が、絶滅するはずだった遺伝子を救うことになった」と語る。
同氏らのチームは1994年、同諸島内のイザベラ島にあるウルフ火山という場所に生息するカメを調査した。ウルフ火山のカメは主としてドーム型の甲羅だったが、一部にくぼんだ甲羅のカメも存在していた。
同チームは、このウルフ火山のカメの遺伝子を徹底的に調査し、くぼんだ甲羅の絶滅種フロレアナゾウガメに特有の遺伝子を探した。その結果、同島のほかのカメよりも遺伝的にフロレアナゾウガメに近い遺伝子を突き止めることに成功したのだ。
「イザベラ島で見つかったこれらのカメは、驚くことに在来種ではなく、フロレアーナ島のカメの近い祖先であることが判明した。博物館に残されている標本の遺伝子データとも高い確率で一致した」と同チームは報告している。
スイスのジュネーブ大学でカメを専門に研究するミシェル・ミリンコビッチ氏は、今回の研究には参加していないが、これは分子マーカーを使って遺伝子の歴史的な情報を解明する実例として最適だと述べている。「理論的には、フロレアナゾウガメの純粋な遺伝情報を再現することも可能だが、何世代にもわたる計画的な交配と、たくさんの分子マーカーを使ってその交配の道筋を制御することが必要になる」。
ただし、「残念ながら、それをゾウガメに対して行うのは、マウスを相手にするほど容易ではない」と付け加えている。カコーネ氏も、このような交配プログラムが厳しいものになると認めているが、同時にぜひ挑戦したいとも語っている。
カコーネ氏らは12月にも、ウルフ火山に生息する1000~8000個体と想定されるカメの詳細な調査に乗り出す予定だ。血液のサンプルを採取するほか、各個体に送信機を装着し、フロレアナゾウガメの遺伝子を隠し持つカメの追跡や捕獲ができるようにするという。「うまくいけば絶滅した種をよみがえらせることに成功した初めてのケースになる」と同氏は述べている。
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Anne Minard
for National Geographic News
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[09/23]
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