【ガラパゴスコバネウ】 ガラパゴス自然保護基金/Galapagos Conservation Fund Japan
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ガラパゴストピックス

                              - 2007,05,22 -



 ◆ガラパゴス 乱獲の海 高値ナマコ・フカヒレ密輸

世界自然遺産第1号の南米ガラパゴス諸島(エクアドル)で、周辺海域に豊富だったナマコが激減している。原因は、中華料理の食材として輸出するための乱獲。06年から禁漁になったものの、密漁が後を絶たない。商品価値が高いフカヒレやイセエビも標的になっている。ダーウィンが訪れた「進化論の島」はいま、海洋生態系の保全が緊急課題となっている。(山本智之/朝日新聞)

ガラパゴスのナマコ漁がブームになったのは80年代後半から。南米大陸でナマコの資源が減り、新たな漁場として目をつけられた。
漁獲量は02年、830万匹にのぼった。その後は03年500万匹、04年295万匹、05年140万匹と推移。06年から資源保護のため、禁漁となっている。チャールズ・ダーウィン研究所が同諸島のフェルナンディナ島で実施した調査によると、01年には海底100平方メートル当たり161匹のナマコが生息していた。しかし、03年は45匹、05年は7匹と急速に姿を消しつつある。
乱獲で激減したナマコを手にする漁師=ガラパゴス諸島サンクリストバル島沖で、佐藤慈子撮影
乱獲で激減したナマコを手にする漁師=ガラパゴス諸島サンクリストバル島沖で、佐藤慈子撮影

「かつては、じゅうたんを敷いたように、びっしり海底にいた。推進1~3メートルの素潜りで、楽にナマコがとれ、1日に5000匹をとった人もいた」と地元漁師(52)。今はポンプ式の潜水器具を使って推進30メートルまで潜っても、1日150匹がやっと。無理をして深く潜りすぎた漁師が、潜水病で死亡する事故が相次いでいる。

しかし、密漁と闇ルートによる出荷は続いている。日本の国際協力機構(JAICA)の調査では、02~04年にナマコ漁をした人の収入は2カ月で3000~5000ドルと現地の漁師の年収に相当する。今年も密漁をしたサンクリストバル島の男性漁師(26)は「お金に困ったから、必要に応じてやっただけ」と打ち明けた。
地元では、ナマコを食べる習慣はない。感想ナマコにし、中華料理の食材として、地理的に近い米国をはじめ、台湾、香港などに出荷している。
違法に採取され、輸出を待つガラパゴス産乾燥ナマコ=ガラパゴス諸島サンクリストバル島で、佐藤慈子撮影
違法に採取され、輸出を待つガラパゴス産乾燥ナマコ=ガラパゴス諸島サンクリストバル島で、佐藤慈子撮影

ところが、地元では「ガラパゴスのナマコは日本に輸出され、日本人が大量に食べている」とのうわさが流れ、JICAや日本人研究者らは打ち消しに躍起になっている。ガラパゴスに赴任中のJICAスタッフ長濱幸生さん(35)は「日本人はなぜそんなにナマコを食べるのか、と現地の人に何度も詰問された。根拠のないうわさが、日本への誤解を生んでいる」と困惑している。
JICAの調査によると、イセエビも数が減っている。漁獲量は85トンだった00年に比べ、03年は約5割の45トン、04年は約3割の25トンに落ち込んだ。高級中華食材のフカヒレも、密輸が絶えない。サメはヒレだけ切り取られ、残りは海に捨てられている。
ダーウィン研究所のアレックス・ハーン博士(32)は「ナマコには、海底を浄化する働きがある。乱獲で姿を消せば、生態系のバランスが乱される恐れが高い。しかし、今後、他の海洋生物にどんな悪影響が出てくるのか、まだ誰も答えを知らない」と話す。

(C) 朝日新聞

[05/22] 


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