地球温暖化で、世界の鳥類の多くが絶滅するとの調査報告書を14日、世界自然保護基金(WWF)がナイロビで開催中の京都議定書第2回締約国会議で公表した。気温が現在より1.5~4.2度上昇するとされる2080年には、豪州で最大7割、欧州や南アフリカで4割の鳥類が絶滅する恐れがある。WWFは「鳥類は温暖化問題では、炭鉱で有毒ガスを察知するカナリアのようなものだ」と指摘した。
報告書によると、温暖化の影響を受けやすいのは、海面上昇や湿地の減少ですみかを奪われる渡り鳥や海鳥だと分かったという。
例えば、シベリアの湿地は温暖化の進展で7割が消失すると予想されるが、その結果、シベリアで繁殖するソデグロヅルは絶滅する可能性が高い。70年代以降、50%も生息数が減ったエクアドルのガラパゴスペンギンも絶滅の危機にある。
また、欧州では、餌になる虫の出現のピークが温暖化で早まったが、アフリカなどからの渡り鳥がそれに対応できず、生息数を減らすケースも出ている。