【ヨウガントカゲ】 ガラパゴス自然保護基金/Galapagos Conservation Fund Japan
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ガラパゴストピックス

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 ◆絶滅の恐れのある生物種の「レッドリスト2003

絶滅のおそれのある種の数は12,000を越えました。マダラクモザル、メコンオオナマズ、カワウサギ、
ガラパゴスカタツムリがますます絶滅に近づく一方、侵略的外来種は、島固有の植物に大混乱を引き起こしています。


セーシェル、ガラパゴス、ハワイなどの遠くの島々は、熱帯のパラダイスあるいは素朴な美しさというイメージを喚起します。しかし、この島々には、何千もの固有種の未来を脅かす侵略と破壊の物語が横たわっているのです。

これは、動植物の保護の状況を知らせる世界で最も権威のあるリストである、2003年度版IUCNレッドリストが警告する率直なメッセージのひとつです。世界中の何千もの科学者や自然保護家がこのリストの発展に貢献し、IUCN種の保存委員会(SSC)と他のNGO団体の協力の下、IUCNが編集を行いました。


2002年版レッドリストの公表から、2000種もの種が新たに加わり、380の分類群(種、亜種など)が再評価されました。現在、IUCNレッドリストは12,259の種が絶滅のおそれのある種(絶滅危惧Ⅰa種、絶滅危惧Ⅰb種、絶滅危惧Ⅱ種の3つのカテゴリーのいずれかに属する種)としてリストされています。762種の動植物が絶滅種として記録されており、58種が野生絶滅種となっています。

新たにリストに加わったものとして注目されるのが、1,164種のエクアドルの植物、125種のハワイ諸島の植物、303種のソテツ、35種のガラパゴス島のカタツムリです。
今回、ベトナムで新たに発見された種、中国で再発見された種などを含む針葉樹すべてについて評価が行われました。世界で最も大きな淡水魚の1種、新熱帯区に生息する霊長類3種、アホウドリ6種など多くのものが、絶滅のおそれの高いカテゴリーに移動しました。

「12,000を越える種が絶滅のおそれのある種として知られている。未だ既存の種のうちの一部しか評価できていないけれども、このレッドリストは世界の生物多様性に何が起きているかということを示す指標であると確信している。」とアキム・シュタイナー氏(IUCN事務局長)は語っています。

更にシュタイナー氏はこう付け加えています。「IUCNレッドリストは自然保護活動に必要な情報をもっとも手にしやすい形で提供している。我々が必要なのは、政治的意志と生物多様性の衰退を食い止める資源である。人類の活動が世界の種に対する最も大きな脅威であるが、しかし、人類はまたその回復を手助けすることもできる。中国のトキ、アラビアオリックスやサイはまさしくその例である。」

◆危機的状況にある島国

島国の固有の動植物の個体群は、生物多様性の主要な脅威の1つである侵略的外来種の影響で減少しつつあります。ハワイ、フォークランド諸島(マルビナス諸島)、イギリス領バージニア島、セーシェル諸島、トリスタン・ダ・クーニャ、セントヘレナ島、アセンション島では景観の崩壊が現れています。

南大西洋のトリスタン・ダ・クーニャ、セントヘレナ島、アセンション島、フォークランド諸島(マルビナス諸島)では、人間活動の影響を非常に受けやすい動植物が土地の状況に適応して発展してきました。世界中の多くの島国と同様、生息地の破壊、放牧動物の導入、侵略的な種による捕食や競合は、厳しい状況となっています。侵略的外来種は、地球上のどの地域にも見られないアセンション島固有の4種の植物の絶滅の要因となりました。

ハワイ諸島の植物は侵略種による深刻な危機的状況下にあります。18世紀後半に最初に持ちこまれた放畜は、多大な影響を及ぼしました。固有植物の減少に伴い、残った個体群も昆虫や雑草との競争に負けてしまいました、これらの生物の多くは外から持ちこまれたものです。特定の種類の植物と共に進化した授粉の役割を果たす種の減少は、それらの繁殖機会をほとんどなくしてしまうことを意味します。これに加えて、住宅開発、観光施設、農業などの影響があり、ハワイの植生の未来は厳しいものと思われます。
ハワイの125の固有植物種が今年レッドリストに加えられ、そのうち85種が絶滅のおそれがあり、さらにその数は増加しています。ハワイの植物種だけでなく、動物種も侵入種によって脅威にさらされています。

ガラパゴス島のヘビも、不安定な状況下にあります。今年のリストのために、49種が評価または再評価され、そのうちの多くが、絶滅危惧Ⅰa種であり、すでに絶滅している可能性もあります。ヒツジ、ブタ、ヒアリが大きな原因です。
「ガラパゴス、ハワイ、セーシェルのような場所では、植物、動物、生態系の多様さから、その美しさは有名です。レッドリストは私達に、これらの地を生態的にも審美的にも不毛な地にしてしまう種の絶滅を、人間活動が招きつつあることを教えている。」とスタイナー氏はいっています。

◆がけっぷちに立たされた大陸種

一方で、大陸種も良い状況ではありません。新熱帯区の霊長類のうち3種がより危険度の高いカテゴリーに移動しました。
危険度の低いカテゴリーに移動した霊長類は1種のみです。

植物種のレッドリスト

レッドリストは、植物種の評価数を大きく伸ばしています。全ての既知のソテツ科の種が評価され、針葉樹についても全て評価されました。
今年はエクアドルの種がレッドリストに加えられ、そのうちの813種が絶滅のおそれのある種です。エクアドルは、植物種の保全に非常に重要です。4つの多様性の高い地域(ガラパゴス諸島、沿岸低地、アンデス、アマゾン)があり、すべてがイタリアと同じ位のサイズの地域に凝縮しています。
ソテツ類は、地球上の最も古い種子植物であり、現在最も絶滅の危機にさらされている植物でもあります。2つの種が野生絶滅種となり、さらに多くの種がそうなる可能性があります。今年は、303種が評価され、そのうち155種(50%以上)が絶滅の危機にさらされています。このためソテツ類はレッドリスト上の現在最も危険にさらされているグループになっています。


◆レッドリストに新たな分類群が加わる

今年、レッドリストにはじめて海藻類と地衣類が加わりました。

◆海洋の生物に対する脅威

海洋部門においては、6種のアホウドリが主に延縄漁業の影響によって以前考えられていたよりも、絶滅の恐れが大きい状況にあります。2000年のレッドリストで報告された16種と比較して、地球上の21種全てのアホウドリが、現在は危険にさらされていると考えられています。
今年は、175種のサメ及びエイが評価、再評価されました。絶滅のおそれがある種として、現在は57種が評価され、さらに19種が評価される予定です。深海性のサメの生態は、特に生息地の変化や、漁業の圧力によって被害を受けやすくなっています。深海漁業の新たな商業的開発が行われるにしたがい、いくつかの種は管理が実施される前に、または発見すらされる前に、絶滅に追いやられる可能性があります。


「海洋性生物は、一般的に回復力が強いと信じられてきましたが、陸上の生物と同様に弱いものであるということを急速に証明しつつあります。海洋環境の管理に関する政策と実行の改善が必要不可欠です。」とIUCNの種の保存委員会のデイビット・ブラケットは言っています。


警鐘

インドネシア、インド、ブラジル、中国、ぺルーは、現在知られている、絶滅のおそれがある鳥類、哺乳類の数が最も多い国です。また、エクアドル、マレーシア、インドネシア、ブラジル、スリランカにおいては、植物が急速に減少しています。

「レッドリストは、昨年の持続的な開発に関する世界サミットにおいて設定された、2010年までに生物多様性の損失速度を大きく減少させるという目標に対する到達状況を監視するために重要なものです。」とIUCN種の保存委員会レッドリストプログラムオフィサーのクレイグ・ヒルトンテイラーは言っています。「何にもまして、レッドリストは私達すべてにとって警鐘です。協力することにより、地球上の生物多様性の残されたものの保全を助けることができるのです。」

レッドリストは、印刷するには量が多すぎるため、www.iucnredlist.org において検索可能なデータベースとして整備され、毎年更新されています。レッドリストの主要な解析は翌年行われ、脅威にさらされている種が最も多いのはどの地域か、そしてその主な脅威は何かについて明らかにします。成果は、2004年11月にバンコクで行われる第三回IUCN世界自然保護会議において発表されます。


(C) IUCN 日本委員会

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