油流出被害のガラパゴス諸島
海藻主食のイグアナなど懸念
政府調査団実態報告 7種82個体が死傷
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ダーウィンが「進化論」を発想した島として知られるエクアドル・ガラパゴス諸島沿岸で今年1月、タンカーが座礁し油が流出した事故で、環境省など政府が派遣していた調査団が帰国、被害実態の調査結果をまとめた。
ガラパゴスアシカやカッショクペリカンなど7種82個体が死傷し、将来の生態系に重大な影響の出る可能性があるとしている。
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東京新聞(2001,04,13) |
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事故は今年1月16日よる発生。エクアドル本土から同諸島のサンクリストバル島に向かっていたタンカー「ジェシカ号」が座礁し、重油、軽油合わせて900キロリットル中、680キロリットルが流出した。
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調査団は菊地邦夫法政大教授を団長に、国際協力事業団(JICA)や環境、外務両省職員ら9人で構成。2月中旬から下旬にかけ、現地で汚染実態を調べた。
その結果、同諸島のうち4島の沿岸部が広範囲に油で汚染され、ガラパゴスアシカ42頭が手当てされ、救助されたカッショクペリカン31羽のうち3羽が死亡していたことが判明。また、アオウミガメ2匹、イワカモメ1羽、セグロミズナギドリ2話が油被害に遭っていた。 |
今も座礁したままのタンカー「ジェシカ号」=ガラパゴス諸島・サンクリストバル島沖約800メートルで |
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地元での聞き取り調査では、ウミイグアナが死んでいたとの情報もあった。 |
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現地では事故後、オイルフェンスが早い段階で張られたため、海上の油はほとんど処理されていたが、砂浜を掘ると、中から油の塊があちこちから出てきたという。
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調査団は「事故直後の被害は最小限にとどまった」とするが、海藻が重油の被害を受けていることから、「海藻を主食とするウミイグアナ、ウミガメなどが食べ物に困る恐れがある」と分析。
「ガラパゴスアシカの目も油被害を受けている可能性がある。長期的にみると生態系に大きな影響が出る恐れがあり、粘り強いモニタリングが必要」と指摘している。
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油被害のため弱ったカッショクペリカンを観察する調査団員=ガラパゴス諸島・サンクリストバル島で(JICA提供) |
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エクアドル政府が調査団に対し調査の継続を要望したことから、JICAが現在、調査チームを再び派遣中で、車や船外機など資材の提供も検討している。
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(C) 東京新聞/夕刊 |