ダーウィン進化論の島…油65万リットル流出
固有の生態系で知られる南米エクアドルのガラパゴス諸島近海で燃料船が座礁、大量のディーゼル油と重油が流れ出し動植物などへの影響が出始めている。
国際自然保護団体の「世界自然保護基金」は「ガラパゴスの生態に深刻かつ長期的な影響を与える可能性がある」と警告。エクアドル政府の求めで21日、米国沿岸警備隊が現場海域に到着し回収作業を始めたが、油は一部の海岸に流れ着いており、被害の拡大が懸念されている。 |
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毎日新聞(2001,01,23) |
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ディーゼル油が流出しているのはエクアドル船籍の燃料運搬船。16日に航路を間違えてガラパゴス諸島東端のサンクリストバル島沖約800メートルで座礁した。
当初はエンジン油が漏れ出ているだけだったが、19日になって積み荷のディーゼル油が流出し始めた。 |
21日、ガラパゴス諸島サンクリストバル島で、座礁したタンカーから流出したディーゼル油で汚れ、ボランティアの手で洗われるペリカン=AP |
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エクアドル当局によると、同船は約110万リットルのディーゼル油と重油を積んでおり、これまでに確認されただけで約65万リットルが流出、海面約1000平方キロメートルを覆った。多くはディーゼル油だが、重油も流出し始めた。エクアドルの沿岸警備隊や漁民が中和剤をまくなどしているが、重油などの流出事故に備えた整備がなく、作業は難航しているという。また、付近は天候の悪化で波が高くなっており、油が大量に島に到着することが心配されている。
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ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所によると、これまでに1羽のカモメが油をかぶり死亡したのが確認された。また、少なくとも11匹のアシカ、約20羽のアオアシカツオドリと、ペリカン、ガラパゴスアホウドリなどガラパゴス諸島の固有種に影響が出ており、エクアドルのレンドン環境相は「環境に与えるダメージは極めて深刻だ」と述べた。
専門家によると、流出した燃料が海底に沈殿した場合、藻類が死滅して食物連鎖が断ち切られ、ウミイグアナやサメ、鳥などの生態を脅かす懸念が出ている。 |
汚染された岸で休むアザラシ。左手奥が座礁した燃料船=ロイター |
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ガラパゴス諸島はエクアドルの西約1000キロ。近くを寒流が通るため動植物の固有種が数多く生息し、ダーウィンの生物進化論の実証の場となったことで知られる。
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(C) メキシコ=吉田弘之/毎日新聞 |