〜南極大異変!ペンギンを襲った“猛暑”の謎〜
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地表温度が上がり、まるで温泉のように湯気が立ち上る。
あまりの暑さに、ペンギンも羽毛を脱ぎたいのでは?と思ってしまうほど
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雨とはほとんど無縁だったはずの南極が、
温暖化の影響で雨の日数が増した、
雨でずぶ濡れになったジェンツーペンギン |
2008年3月上旬。
駆け足で冬がやってきそうな南極半島で、ぼくを待ちうけていたのは、吹雪ではなく猛暑だった。
1990年代中ころから南極域に何度もやってきて基地滞在も2度ほど経験し、肌身で感じていたはずの極寒の地。だが今回は、異様な光景を写真におさめることになった。
例年南極では2月下旬になると徐々に海が凍り始め、アデリーペンギンたちは本能的に吹雪がやってくること知っているので、3月になる前に南極を去ってゆく。
「この暖かさは、いったいなんだ!」
ぼくは吐く息が何度試しても白くならない南極に戸惑っていた。白夜も終わり、夜が一日の半分をしめるまでになっているのに、今回の滞在期間中、とうとう日中の気温が氷点下になることはなかった。
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2002年1月4日(真夏)
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2008年3月9日(初冬)
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いずれもアルゼンチン・ブラウン基地。左の写真は2002年1月4日(真夏)の撮影で、
右は2008年3月9日(初冬)の撮影。3月に撮影した初冬の風景が夏のように見えてくる
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冬が始まろうとしている3月、
地表に温度計を置いてみた。
25.3度!
ここは本当に南極なのだろうか
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南極に到着した初日、いままでに見たこともない風景がペンギン生息地に広がっていた。
広大な雪原がピンクや緑色に染まり、まるで巨大なお花畑が出現したかのよう。正体はスノーアルジーとよばれる雪氷藻類であった。
今回、いたるところに現れたスノーアルジーは、色が濃いうえにどこも広大な規模であった。
温暖化によって氷が解けている期間が長くなり、また光をさえぎる積雪が少なく雨が多かったのか大発生していたのだ。
夏が終わったはずなのに、日中に雪が降ることは一日もなかった。
雨上がりの晴れの日にデジタル温度計を地表に置いてみた。なんと25.3度を示し、あまりの暑さにジェンツーペンギンが日陰に避難していた。
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熱帯でもないのに激しいスコールが南極半島で始まった。
吹雪が当たり前の南極で、初冬の季節に滞在してみたが、
とうとう一度も日中に氷点下になることがなかった
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南極が色づいて、ピンクや緑色のお花畑のようだ。
温暖化で暖かな日が何日も続き、
雪原にスノーアルジー(雪氷藻類)が大発生していた。
南極半島の風景はこの10年たらずの間にも、
ずいぶん変わってきた。
雪解けで地肌の面積が広がるにつれてコケ植物や
種子植物(顕花植物)が目立つようになってきた。
場所によってはゴルフ場と見間違えてしまうような
海岸地帯も現れている
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南極半島では過去50年間の年平均気温の上昇幅が、場所によって・・・・・・急激な温暖化といえる。
南極に雪が積もり、氷河として1千年から数万年かけて海までたどり着く。大陸氷河が海に張り出した部分を棚氷とよび、その一部が海に砕け落ちて氷山になる。
途方もない年月を刻んできた氷山だが、海を漂い始めるとわずか・・・・・・ほどで海に溶けてしまう。
だが、近年の南極温暖化で起こっている棚氷の崩壊は、数千年単位でおきてきた南極での雄大な歓談のサイクルだけで説明できないほど、急激なスピードになっている。
今年の2月、南極半島の・・・・・・棚氷から長辺・・・キロメートル短辺・・・キロメートル、東京ドームの広さに換算して約・・・個分もの巨大な氷山が分離した。
その棚氷崩落は、さらに拡大を続けている。
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氷の上にいるイメージのペンギンたち、
最近ではコケの上で過ごすペンギンたちも珍しくなくなった
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湯気とペンギン
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スノーアルジーとペンギン
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コケとペンギン
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南極に出現した滝
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氷山の上にいるペンギンたち
(黒い点々がすべてペンギン)
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南極が緑の大陸に!
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南極25.3℃、
熱波がペンギンを襲う
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南極温暖化で滝出現!
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氷河崩壊に驚くペンギン
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■写真展のお知らせ |
「憧憬の南極」(鈴木豊子 写真展)
2008年8月7日(木)〜8月12日(木)
10:00〜18:00
初日は正午〜、最終日は〜17:00
<会場>サンピア明石3F アートホール明石
明石市相生町2丁目9-20
tel. 078-911-2250
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