〜人間と一緒に暮らせるのか〜

水平線に消えかかるサンセット。
深みを増していく夕焼けが、街のイルミネーションをひときわ華やかなものに変えていく。
肌寒く感じられるビーチから、人影も消えた。
夜9時20分、ここは・・・・・・。
ビーチに打ち寄せる波に乗って、ペンギンたちがいっせいに帰ってきた。


世界で最も小さなペンギンは体長30センチほどで、その名もリトルペンギン。
「あのネオンサインがわが家だよ」とばかりに、波間から見えるハイウエーやビルの外灯を目印に毎晩、ペンギンたちは同じ街へと帰ってくる。
彼らはここで人間と一緒に暮らしているのだ。



夜上陸したペンギンたちはまず、アスファルトの路上で濡れた羽を乾かす。
そして、踏切を渡って街へと入っていく。
もし、途中で車や犬に出会ったら、すぐさま草むらに避難。
ほとぼりが冷めたころ、再び街へ。
「ギャオーギャオー」。
けたたましいヒナたちの鳴き声が、街に響きわたった。
巣ではおなかをすかしたヒナたちが、親の帰り
を今か今かと待っていた。
「コンクリートの下がマイホームさ」と。
リトルペンギンは、
街のイルミネーションにも
すっかり慣れてしまった


早朝のビーチはペンギンの足跡だらけ。
夜に上陸してきたペンギンたちは、
日の出前に海へと帰っていく

6万年も前からの先住民、彼らにとってリトルペンギンは神聖な生き物であった。
もちろん、捕らえることはタブー。
もしもアボリジニーが、この無邪気なペンギンたちを食料として扱っていたら、リトルペンギンはすでにこの世に存在していなかったのかもしれない。


2000年1月1日、・・・・・・の海岸で、油にまみれた46羽のリトルペンギンが保護された。
船舶の廃油が原因だった。
ペンギン交通事故多発中!
ペンギン道路標識が街のあちこちに
藤原幸一
もうじき夏を迎える。
真夜中、ダウンタウンから人も車もいなくなり、
ここはリトルペンギンの街へと変わっていく



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