ペンギンかぞくとおそろしい山
アリス館
 写真・文 藤原幸一

表紙 裏表紙
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まちにまった あさ日が、 海の むこうから
すがたを あらわしました。

まいにち まっくらな なんきょくの 冬が
やっと おわったのです。

北の海でくらしていた ペンギンたちが
7か月ぶりに うまれた ばしょに もどってきました。

2羽のあかちゃんが うまれました。

おとうさんと おかあさんは、
こうたいで あかちゃんに ごはんを あげたり、
ふわふわな おなかの 毛の なかに いれて、
あかちゃんを あたためて まもります。
とつぜん、 空が くらくなり、
もうれつな いきおいで 雪が ふってきました。

なんきょくでは、 夏でも ときどき
雪が ふりますが、
お日さまが よるになっても しずまず、
ずっと でているので、
すぐに とけてしまいます。
ごはんをとりに 海に出かけた おとうさん。
巣から 海まで あるいて 30分 かかります。

とちゅう おそろしい山を
とおらなければ いけません。

それは 人間が すてた 大きな ゴミの山。
  
「おとうさん、 おそいね」
かえってきない おとうさんを、
みんな しんぱいしています。

こどもたちを 「ほいくえん」 にあずけて、
おかあさんは 海に むかって あるきだしました。
 
「あぶない! にげて にげて!!」

ほいくえんを はなれて
あるきだした あかちゃんを めがけて
オオトウゾクカモメが おそってきました。
「ぼく、こんなに 大きくなったよ。
たべすぎて 大きくなりすぎたかな・・・

もうすぐ 大地も 海も こおってしまう、
なんきょくの きびしい冬が やってきます。

ペンギンたちは 冬でも こおらない
海を めざして、
北へ たびに でるのです。



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